公開日 2020年11月20日
後期高齢者医療制度とは
(1) 目的
老人医療費を中心に国民医療費が増大するなか、国民皆保険を維持し、医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、高齢化社会に対応した仕組みとして、高齢者世代と現役世代の負担を明確化し、公平でわかりやすい独立した医療制度として、後期高齢者医療制度が創設されました。
また、都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合を進め、保険財政の基盤の安定を図り、医療保険制度の一元化を目指すことをねらいとしています。
(2) 運営主体・制度の流れ
後期高齢者医療制度は、都道府県ごとに県内すべての市町村が加入する広域連合が運営主体となります。
(3) 市町村・広域連合の役割
市町村は、保険料の徴収及び被保険者の便益に資する事務(申請・届出の受付及び被保険者証の引き渡しなどの窓口業務等)を行います。広域連合は、被保険者の資格管理・保険料及び給付の決定等を行います。
- 市町村
-
各市町村は、後期高齢者医療制度の事務のうち、保険料の徴収や各種申請・届出の受付、被保険者証の引渡しなどの窓口業務を行います。
- 被保険者の資格管理に関する申請及び届出の受付
- 被保険者証及び資格証明書の引渡し
- 被保険者証及び資格証明書の返還の受付
- 医療給付に関する申請及び届出の受付並びに証明書の引渡し
- 保険料に関する申請などの受付
- 上記事務に付随する事務
- 広域連合
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広域連合は、後期高齢者医療制度の運営主体となり、資格の認定のほか、保険料の決定や医療給付の審査・支払いなどを行います。
- 被保険者の資格の管理に関する事務
- 保険料の賦課に関する事務
- 医療給付に関する事務
- 高齢者の保健事業に関する事務
- その他後期高齢者医療制度の施行に関する事務
(4) 財政運営
後期高齢者医療制度の財源構成は、患者負担を除き、公費(国・県・市町村)が約5割、現役世代(各医療保険の被保険者)からの支援が約4割、高齢者の納める保険料が約1割となります。
後期高齢者医療制度の財政運営の仕組み
- 対象者数…約1,810万人
- 後期高齢者医療費…18.1兆円(給付費/16.6兆円 患者負担1.5兆円)※令和2年度予算ベース
- (注)
- 現役並み所得を有する高齢者の医療給付費には公費負担がなく、その分は現役世代の支援金による負担となっていることから、公費負担割合は47%となっている。
(5) 財政リスクの軽減
将来の財政リスクに備えて、国・都道府県が共同して責任を果たす仕組みが設けられ、次の軽減措置が講じられます。
- (注)
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「保険基盤安定制度」
低所得者についての保険料軽減制度を設けて、軽減分を公費(都道府県と市町村)で補填します。(都道府県:市町村=3:1)「高額な医療費に対する公費負担」
高額な医療費の発生による広域連合財政への急激な影響の緩和を図るため、国及び都道府県は、後期高齢者医療広域連合に対して4分の1ずつ負担します。
(国:都道府県:広域連合=1:1:2)「財政安定化基金」
保険料未納リスク、給付費の増加等による財政の影響に対応するため、国・都道府県・広域連合が3分の1ずつ拠出して各都道府県に財政安定化基金を設置し、資金の貸付・交付を行います。
(国:都道府県:広域連合=1:1:1)